ビジネス思考力

『既知』と『未知』を繋げることが話し上手の秘訣

私は普段色々な方の前でセミナー講師としてお仕事をしています。

その時に心がけているのが相手にとって『分かり易い』かどうかです。

 

もちろんそこにはビジネスが介在しますから、売上が上がらなけらば意味はありません。

しかしそれ以上に内容が分からなければもっともっと購買率は下がるでしょう。

基本的なことですが私が意識している伝え方を記してみたいと思います。

 

具体的とは相手知り得る言葉を使うこと

どんな人間でも生きていく上で必ず求めているのが『学び』です。

 

最近では毎日のようにクイズ番組が放送されていますよね。

では何故あれ程に流行っているのでしょうか。

それは画面を見ながら解答したいと思う気持ちと、知らないことを自分の情報にしたいという気持ち人間にはあるので、メディアはその双方の気持ちを上手にくすぐりながら出演者や出題方法を趣向して放送しているわけです。

全ての問いが難問だと視聴者チャンネルを変えてしまいます。

多少なりとも知っている問題があるからこそ私たちは娯楽として見続けることが出来るのです。

 

 

だから学びの中の『未知』情報に対しては抵抗感を感じるということです。

言葉を変えると、知らない言葉やクイズの難問は逆に飽きてしまい、学ぼうという姿勢からは離れてしまいます。

ところがそこに『既知』の情報が組み込まれたらどうなるでしょう。

知っている言葉やクイズが出てくると、脳はすでに理解しているので知らないことと繋げ合わせる作業をし始めます。

こうして情報量が増えていき、ヒトは賢くなっていくのです。

 

よく「具体的に申しますと・・・・」という表現がありますが、これは相手が知り得る言葉にプラスして新情報をつたえるのが正しい使い方です。

新製品のお披露目会などでも頻繁にこの言葉を耳にしますが、製品スペックの詳細を語られても、知らないフレーズばかりだと、ただの言葉の羅列に過ぎなくなってしまいます。

 

例え話が上手い人はなぜ内容が伝わるのか?

既知だの未知だのって、意味わかりました?

正直、上の文章も少し意味が分からない(未知情報)だと思いますので、具体的な表現で分かり易く解説しますね。

 

例題としてですが、下の2文を読んでください。

①「SDIは単線の形式を使用している点において、コンポジットケーブルに似ていると言えよう。しかしそれに対してY/Cは二本線を使っているし、コンポーネントの場合は三本になるケースが多い」

機械工学のエンジニアなら言いたいことが分かるかもしれませんが、一般人にはちんぷんかんぷんの内容であり、学習や聞きたい内容の対象とはなりませんよね。

なぜならここに登場する言葉は、一般人が普通に知り得るフレーズが全くないからです。

混乱=未知+未知

 

では次のように表現すればどうでしょうか。

②「家庭で使っているDVDデッキとテレビをつなげるために使っている、あの黄色い端子の付いたケーブルがあるよね。DVDの業界ではアレをコンポジットケーブル、つまり総合ケーブルとよんでいるんだよ。なぜならDVDの情報を全て一本の線で伝送しているからです。」

こうなると学習が始まります。

同じ「コンポジットケーブル」という言葉(未知の情報)を使っても、自分のDVDとテレビを繋ぐために使用しているケーブル(既知の情報)へと関連づけることが出来るからです。

学習=既知+未知

 

人に話す際、スポーツに例える、ビジネスに例える等何かしら相手の既知に関連させて話す人の会話は分かり易いものです。

それは【『既知』と『未知』をつなげることが話し上手の秘訣】ということをスピーカーが知っているからに他なりません。

 

言いたいポイント

近年では【聞く力】にクローズアップした書籍や内容も多く出版されています。

それは『聞き上手は話し上手』という言葉に繋がってくるからだと思います。

もちろんそれも重要な要素ではありますが、例えて言うなら一対一の悩み相談などは聞き上手の方が解決する場合が多いでしょう。

 

しかし今回のテーマは聴衆に対するシーンをイメージしたものなので、この場合での話し上手はやはり『いかに既知と未知を織り交ぜて相手に伝えれるか』でしょう。

リスナーに心地よい学びを、明日誰かに話したくなるような知識をインプットしてあげることが出来れば、ますますそのスピーカーから何か学びを得ようとするものであります。

 

これも分かり易く例えると、池上彰さんや林修先生がなぜ毎日のようにテレビに出ているということに繋がります。

あなたもご承知の通り、あの二人が人気なのは『解説が分かり易いから』の理由に他なりません。

 

私は人気コメンテーターを目指す訳ではないですが、目標とするならまさにこの二人しかいないでしょう。

今から知識量を追い求めることは非常に困難ですが、言い回しや表現の仕方は誰もが認める価値に当たるので、そういった点はたくさん真似したいですね。

 

日々の仕事でもまた聞きたいと思ってもらえる様に、もっともっと情報量を増やし、既知と未知の出し入れを今後も継続していきたいと思います。